2023.10.02 ひと休み
豆知識 その18「天アンカット」
“読書の秋”到来、というには今年はまだまだ暑いですねー。もう10月だというのに・・・。めげずに「本」に関する話題です。
読書家?Aさんの発表
ある本屋に「購入した本の上部がギザギザしている」と電話があった。 この電話の人のように、ページの上の部分がギザギザしている、そんな本に出会ったことはありますか。通常の本であればページの上と下(天地)そして横の三方がきれいに切り揃えられており、 本を閉じたときに平らになる。しかし中には、上の部分をあえて切り揃えない【天アンカット】という装丁の本が存在します。 そしてこの天アンカットは、【仮フランス装】と呼ばれる製本方法とセットで使われることが多いそう。仮フランス装の特徴としては、中身の本に対して表紙を少し大きくする製本様式です。 一枚紙の四方を折りたたみ表紙の強度を確保します。 三方断裁をすれば折り込みが多少ずれていてもごまかせるが、天をアンカットにする場合は、折りの段階でも細心の注意と技術が必要になるそう。そのため、手間と作業時間が余計にかかる。すなわち出版社としてはカットするよりかえってコストがかかり、納期も余分に計算しなくてはならないそう。 それでもなぜ天アンカットが採用されるかというと、切りそろえたのでは出せない微妙でやわらかな風合いが出せること、書物の長い歴史への敬意を表すことができることなどがある。業界の方ですと、『おっ、天アンカットか、やるな』と内心グッとくるポイントでもあるそうです。 天アンカットは、出版側のこだわりが詰まった製本法と言っていいのではないでしょうか。 Jタウンネット 2019年12月1日付